東海道線「快速アクティー」廃止! 神奈川県の「支離滅裂」要望で鉄道弱体化? 鉄道行政のプロ不在が招いた悲劇を考える

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神奈川県鉄道輸送力増強促進会議が提出した要望リストは、地域住民の利便性向上を目指すものの、鉄道事業者との議論不足が目立つ。特に、東海道線の快速アクティー廃止問題を通じて、自治体と鉄道事業者の間にある情報格差と専門知識の欠如が浮き彫りになった。2023年のダイヤ改正で実現した停車駅増加に対しても、地域の真のニーズに応えるには、さらに深い議論が必要だ。

選択停車方式で利便性拡大

快速アクティー増発要望のページ(画像:北村幸太郎)
快速アクティー増発要望のページ(画像:北村幸太郎)

 これについて、神奈川県の担当者は次のように述べていた。

「要望内容について、特に市民や部内から疑念の声が上がったことはありませんし、こんなはずじゃなかったという苦情も寄せられていません」
「結果として、普通列車化が皆にとって良よいことだというJRの判断だと思います。小田原市にも意見を聞いてみてはいかがでしょうか。」

そこで、小田原市都市部地域交通課にも問い合わせた。

「快速アクティーの減便や通勤快速の運転取りやめについて、小田原駅や国府津駅の利用者は速達性の低下を指摘されていますが、普通電車の運行によって、鴨宮駅や二宮駅を利用する市民には利便性が向上したと考えられます。また、平塚駅以西への普通電車の増発についての要望が受け入れられた成果ともいえます。東日本旅客鉄道株式会社は、以前から「利用状況を見極めつつ全体的な利便性向上に努めてまいります」と回答しており、コロナ禍による鉄道利用者の減少も考慮に入れた上で、今回のダイヤ編成が検討されたと理解しています。なお、神奈川県鉄道輸送力増強促進会議の要望項目は、各駅ごとに独立したものとなっています。具体的な例として、東海道新幹線の「ひかり号」のように、便ごとに停車駅が異なる運行についての要望があると認識しています。この度のご指摘は、神奈川県鉄道輸送力増強促進会議(東海道線部会)で要望内容を検討する際の参考として活用される予定です。今後も鉄道輸送力の増強や利便性向上に向けて、さまざまな視点から要望をしていく考えです」

 これに対して、JRの対応には一定の評価が示されている。そして、今回のコメントから明らかになった重要な新事実として、快速アクティーの停車駅追加要望は、すべての通過駅に停車させるのではなく、

「列車によって停車駅が異なる選択停車方式」

で実現を考えていたという点が挙げられる。確かに、東海道線でもJR東海管内では名古屋~豊橋間の快速列車が、時間帯や列車によって停車駅が異なる場合がある。

 だが、JR東海の東海道線快速や新幹線「ひかり」のように、元々通過駅が多ければその理屈も理解できるが、そもそも4駅しか通過しない快速アクティーにそれを求めるのは、速達性を考えると無理があるのではないか。

 また、要望書からは選択停車方式による実現を望んでいるようには読み取れないとも感じる。皆もよかったら、神奈川県鉄道輸送力増強促進会議のウェブサイトを一度見てみてほしい。

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