東海道線「快速アクティー」廃止! 神奈川県の「支離滅裂」要望で鉄道弱体化? 鉄道行政のプロ不在が招いた悲劇を考える
神奈川県鉄道輸送力増強促進会議が提出した要望リストは、地域住民の利便性向上を目指すものの、鉄道事業者との議論不足が目立つ。特に、東海道線の快速アクティー廃止問題を通じて、自治体と鉄道事業者の間にある情報格差と専門知識の欠如が浮き彫りになった。2023年のダイヤ改正で実現した停車駅増加に対しても、地域の真のニーズに応えるには、さらに深い議論が必要だ。
議論なき鉄道要望の実態

「神奈川県鉄道輸送力増強促進会議」という団体を聞いたことがあるだろうか。この団体は行政の関与のもと、県内の各市町村からの要望を取りまとめ、県内の鉄道事業者へと伝える役割を担っている。しかし、その要望内容を見る限り、議論や精査が十分に行われているようには感じられない。むしろ、そのリストがそのまま鉄道事業者に渡されているだけのようにも見える。
この団体は快速アクティー廃止前、少なくとも2016年以降、毎年以下のような要望リストをJRに手渡していた。
・快速アクティーの1時間あたりの本数の増加
・快速アクティーの運行時間帯の拡大
・快速アクティー等の辻堂駅への停車
・快速アクティー等の大磯駅への停車(2019年追加)
・快速アクティー等の二宮駅への停車
・快速アクティー等の鴨宮駅への停車
これらの要望は、快速アクティーの増発や運行時間帯の拡大を求めつつ、当時の快速アクティーの
「通過駅全駅に停車を求める」
という矛盾した内容だった。もしすべてが実現すれば、普通列車に変わってしまうだろう。なぜ、どれか1駅に絞るという議論がなかったのだろうか。