東海道線「快速アクティー」廃止! 神奈川県の「支離滅裂」要望で鉄道弱体化? 鉄道行政のプロ不在が招いた悲劇を考える

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神奈川県鉄道輸送力増強促進会議が提出した要望リストは、地域住民の利便性向上を目指すものの、鉄道事業者との議論不足が目立つ。特に、東海道線の快速アクティー廃止問題を通じて、自治体と鉄道事業者の間にある情報格差と専門知識の欠如が浮き彫りになった。2023年のダイヤ改正で実現した停車駅増加に対しても、地域の真のニーズに応えるには、さらに深い議論が必要だ。

特急復活要望の再燃と議論の行方

快速アクティー選択停車のイメージ(画像:北村幸太郎)
快速アクティー選択停車のイメージ(画像:北村幸太郎)

 神奈川県鉄道輸送力増強促進会議のウェブサイトには、2024年版の要望一覧が線区ごとにアップされている。今回の東海道線に対する内容を見ると、

・快速アクティー復活のお願い
・湘南新宿ライン特別快速の辻堂駅への停車
・湘南新宿ライン特別快速の二宮駅への停車 ←NEW!!
・湘南新宿ライン特別快速の鴨宮駅への停車

選択停車方式による要望とは記載されていない書面を見てきた立場からすると、全通過駅への停車要望をして普通列車化された後に、再び快速アクティーの復活を要望することには少し驚きを感じざるを得ない。

 取材前にこの内容を見た筆者は、思わず驚いてしまった。また、湘南新宿ライン特別快速に関しても、東海道線内の通過駅4駅のうち3駅に停車を求めている点が気になる。もしかすると、2026年には大磯駅もその要望に加わる可能性もあるだろう。特別快速についても、小田原市の担当者のコメント通りであれば、選択停車が前提となるかもしれないが。

 JRが行った緩急接続などによる通過駅への速達性の改善は、本来は県側が道路交通の設計や信号制御の検討をやるのと同じように、線路配線や列車が詰まりやすいポイントなどの条件を勘案してダイヤ案を練ってから要望すべきものであったはずだ。鉄道の運輸計画に詳しい専門家、例えば

・鉄道アナリスト
・鉄道事業者でダイヤ作成を担当していたOB

などを1都道府県にひとりは採用し、県全体で議論し最適解をJRに提言する力を付けるべきだろう。

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