もう我慢できない! 飛行機の迷惑行為「ゲートのシラミ」「通路のシラミ」とは何か? なぜ無くならない?
空港での混雑や列の割り込みが、今や「ゲートのシラミ」や「通路のシラミ」といった新たな社会現象を生んでいる。アメリカン航空が導入した新システムのように、搭乗順序のルールを厳格化し、早く、スムーズな搭乗を確保する動きが広がる中、顧客の利便性と航空会社の競争力向上に向けた新たな取り組みが求められている。
エコノミー席の競争戦略

空港の搭乗口での驚くほど長い行列。あれは、自身のグループが呼ばれる前に搭乗しようと割り込んで並んでいる人のせいなのかもしれない――。
乗客が飛行機に搭乗する順番は航空会社によって決められている。例えばANAの場合、国際線でも国内線でも、ファーストクラスまたはマイレージ会員のステータスが極めて高い会員が最初で、次がビジネスクラスやマイレージ会員のステータスが高い会員、その後は窓際席、中央席、通路側席といった順番である。
JALの国際線の場合は、まず子連れ、妊娠中の女性、病気やケガ・障がいがあるなどサポートが必要な人、海外赴任に関連した家族などが優先される。次に、座席のクラスやマイレージ会員のステータス順になり、そこからエコノミーの後方席、その他の順が基本となっている。
このように航空会社によってさまざまだが、グループ分けされて、搭乗順が案内されるのだが、世の中には、早く搭乗したくて、自身のグループが案内される前に列に並ぶ人が少なくないようだ。米国の航空会社では、ゲートに群がる乗客を、業界用語で“ゲートのシラミ”と呼んでいる。なぜ急ぐ必要があるのか。
「頭上の機内持ち込みのスペースを確保したいから」
という実際的な理由がまずは考えられる。
人間行動の専門家によれば、自分の順番より前にゲートに集まる旅行者は、同調と競争心から来ているのだそうだ(2024年11月20日付け『ワシントン・ポスト』)。この現象を研究している心理学者も、「不安感と群集心理」と説明している(2024年10月23日付け『サンフランシスコ・クロニクル』)。