北海道の鉄道政策「ダブスタ」批判は的外れ?並行在来線の廃止は、経済合理性を重視した現実的な判断だ【リレー連載】ビーフという作法(4)
北海道の鉄道政策は「選択と集中」に基づき、全路線を一律に扱うことなく、経済合理性に則った方針を採っている。黄色線区の維持と山線の廃止を巡る議論は、感情的な反発を超え、長期的な視点での交通ネットワーク再編の重要性を浮き彫りにしている。バス転換や代替ルートの確保といった課題解決には、柔軟な発想と合理的な政策判断が求められる。
「北海道鉄道政策」の経済論理

「ビーフ」とは、ヒップホップ文化における対立や競争を指す。1984年、ウェンディーズのCMで使われたキャッチコピー「Where’s the beef?(ビーフはどこだ?)」は相手を挑発する表現として広まり、その後ヒップホップの世界でも定着した。本連載「ビーフという作法」はその精神にならい、モビリティ業界のさまざまな問題やアプローチについて率直に議論する場を提供する。他メディアの記事に敬意を払いながらも、建設的な批判を通じて業界全体の成長と発展に寄与することを目指す。
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2月16日、「北海道の鈴木知事、黄色線区は「利用促進PR」も並行在来線は廃止強硬姿勢で、鉄道政策「ダブスタ」疑惑」という記事が配信された。この記事は鉄道ライターの鉄道乗蔵氏によって書かれた。
記事では、釧網線や花咲線などの「黄色線区」では補助金を活用した利用促進策を実施しながら、函館本線の小樽~長万部間(山線)を含む並行在来線については廃止方針を堅持していることに矛盾があると指摘されている。
しかし、この批判は感情的な側面が強く、経済合理性の観点から十分に検証されていないのではないか。本稿では、北海道庁がなぜこのような方針を採るのかを経済的視点から掘り下げ、その政策の整合性を再考する。