国の描く「ロードマップ」は、本当に実現可能なのか?【短期連載】フィジカルインターネットの課題を考える(4)

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2022年3月8日、経済産業省および国土交通省は、フィジカルインターネット実現に向けたロードマップを発表した。連載最終回となる第4話では、その内容をひも解く。

「船頭役」を務めるのは誰か?

国が発表した「フィジカルインターネット・ロードマップ」37ページ(画像:経済産業省、国土交通省)
国が発表した「フィジカルインターネット・ロードマップ」37ページ(画像:経済産業省、国土交通省)

 ロードマップ内に、以下のような記述がある。

「2024年度からトラックドライバーに対して、時間外労働の上限記載が適用されるに当たり、物流における働き方改革が進む」

「2025年度頃までは、物流機器の発達、物流拠点の展開、垂直統合、水平連携が進行するのと並行して、求貨求車マッチングや倉庫シェアリングといったサービスを提供するプラットフォームが発達し、物流スポット市場が成長していく」

 まるで預言書のようだ。

 なぜ、「物流における働き方改革“が進む”」ではなく、「物流における働き方改革“を実現する”」とコミットできないのだろうか?

 ロードマップには、

「フィジカルインターネットの実現は、基本的には、民間が主体となって進められるものであるが、標準化をはじめとして、様々なステークホルダーの連携・協調が重要となる領域が広く、こうした協調領域に関しては、民間団体さらには政府が主導的な役割を果たす必要がある」

と書かれている。

 船頭役を明確にしていないから、どこか他人事のような、預言書のような表現になっているのだ。

 これは問題だと思う。それも、大きな問題だ。

 これが、単なる責任の押し付け合いなのか、それとも変革を行う前の混乱によるものなのか、現時点では判断がつかない。

 フィジカルインターネットは、これからの日本経済に不可欠なものである。今後の動向を見守っていきたい。

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