国の描く「ロードマップ」は、本当に実現可能なのか?【フィジカルインターネットの課題を考える #4】

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2022年3月8日、経済産業省および国土交通省は、フィジカルインターネット実現に向けたロードマップを発表した。連載最終回となる第4話では、その内容をひも解く。

持続可能な物流に必要なロードマップとは

物流業界のイメージ(画像:写真AC)
物流業界のイメージ(画像:写真AC)

 フィジカルインターネットは、インターネットの仕組み、とりわけ、シェアリング(共有)とコネクト(連携)をまねることで、荷主間にある壁、物流事業者間にある壁、運べる/運べない貨物の壁などを取り除き、限りなくオープンな物流ネットワークを創り上げることで、究極に最適化された物流を目指す「共同輸送サービス」の概念である。

 ECの拡大による物流需要の増加や、トラックドライバー不足に起因する物流クライシスをこのまま放置した場合、2030年時点で7.5兆円~10.2兆円の経済損失が生じる可能性が指摘されている。フィジカルインターネットは、物流クライシスを回避するための最終兵器として期待されている。

 経済産業省と国土交通省が2022年3月8日(火)に発表したフィジカルインターネット・ロードマップでは、現在から2025年までを「準備期」、2026年から2030年までを「離陸期」、2031年から2035年を「加速期」、2036年から2040年までを「完成期」としている。

 この中で、とりわけ大切なのが、2030年と2040年である。

 2030年はフィジカルインターネット実現に向けた、業界別の「アクションプラン」を完成させる期限であり、2040年はフィジカルインターネットそのものが社会実装される期限である。

 アクションプランとは、フィジカルインターネットのあるべき姿を具体的に示すものであり、フィジカルインターネットの理論や方法論、社会実装方法を明らかにする、設計図のような役目を果たすのだと考えられる。