スタック多発なのに! なぜ「冬用タイヤ」を装着しないのか? 雪道での立ち往生が生む年間12億円超の経済損失
2025年の冬、予想を超える積雪が各地で道路麻痺を引き起こし、立ち往生する車両の映像が連日報じられている。2018年の首都高速で発生した約10時間に及ぶ渋滞を見ても、冬用タイヤ未装着車による経済的損失は深刻である。特に、東名高速道路では冬用タイヤの未装着率が69.5%に達しており、雪道での安全確保には早期の冬用タイヤ装着が不可欠だ。これに対して、政府による支援策の導入が求められている。
雪害で物流遅延、消費者影響

積雪による車のスタックが道路で立ち往生すると、交通マヒを引き起こすだけでなく、経済的な損失にも繋がる可能性がある。日本は世界的に見ても豪雪地帯として知られ、人口が多い豪雪地帯という点では他国と比べて特異な存在だ。この事実は意外かもしれないが、雪に対する準備や対応が甘くなる原因のひとつは、この事実を知らない人が多いためではないだろうか。
例えば、古いデータではあるが、2012(平成24)年の新潟県で「大雪による道路通行妨害」による走行損失は約12億円に上る。この金額だけでもかなりの規模だが、経済的損失には他にもさまざまな要因があり、実際の損失額はさらに大きいと考えられる。雪による経済的ダメージの主な要因は、渋滞や事故、物流の遅延、そして通勤や業務の混乱だ。
まず、渋滞や事故が挙げられる。雪による車のスタックは、立ち往生だけでは済まず、二次災害として事故を引き起こすリスクもともなう。渋滞や事故は交通のマヒを引き起こし、経済損失時間として失われた時間は計り知れない。
次に、物流の遅延がある。雪で立ち往生した物流トラックは、商品の配送予定時刻に大幅な遅れを生じさせる。これにより、スーパーやコンビニの商品が急激に欠品する、あるいは郵便物が届かないといった状況が発生することは、誰もが経験しているだろう。
また、通勤や業務の混乱も深刻な影響を与える。雪によるスタックで交通がマヒすれば、通勤や業務にも影響が出る。実際、大雪の日には出勤できた者もいたが、他の社員は道路の停滞や電車の運休によって、事実上出勤できなかった。そのため業務にも影響が出て、その日のみならず、後日にしわ寄せがいき、長期的な負担が生じることもある。