スタック多発なのに! なぜ「冬用タイヤ」を装着しないのか? 雪道での立ち往生が生む年間12億円超の経済損失

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2025年の冬、予想を超える積雪が各地で道路麻痺を引き起こし、立ち往生する車両の映像が連日報じられている。2018年の首都高速で発生した約10時間に及ぶ渋滞を見ても、冬用タイヤ未装着車による経済的損失は深刻である。特に、東名高速道路では冬用タイヤの未装着率が69.5%に達しており、雪道での安全確保には早期の冬用タイヤ装着が不可欠だ。これに対して、政府による支援策の導入が求められている。

保管費用が負担の要因

東名高速道路で冬用タイヤを使っている車の割合は低い(画像:都野塚也)
東名高速道路で冬用タイヤを使っている車の割合は低い(画像:都野塚也)

 ニュースでも繰り返し取り上げられ、国土交通省やNEXCOからの呼びかけが続いているにもかかわらず、多くの人が冬用タイヤを装着しない理由は幾つかある。

 一番大きな理由はコストの問題だ。冬用タイヤを装着するには予想以上の費用がかかる。主な費用はタイヤ購入代、交換作業代、そして保管代だ。

 冬用タイヤを購入しなければならないが、その価格は車種や性能によって異なる。普通車であれば、安いものでも4本セットで約5万円、性能が良い高級タイヤでは10万円以上かかることもある。さらに、タイヤ交換作業を自分で行う場合は交換キット代のみで済むが、専門業者に依頼すると、2万円前後の費用が必要となる。

 また、ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの両方を保管しなければならないが、保管場所に余裕があれば自宅で保管できる。しかし、外に保管する場合、気温の変化や日差し、雨、雪などによってタイヤが劣化しやすく、耐久性が低下するリスクがある。そのため、保管場所を借りる場合は保管代が発生し、決して安くはない。

 また、雪の積もり具合を予測するのが難しいことも大きな要因だ。特に、普段雪が降らない地域に住んでいる人々にとって、雪の降り方を予測する経験が少ないため、冬用タイヤが必要かどうかを判断するのが難しい。実際、普段雪が降らない地域ほど、冬用タイヤの着用率は低くなりがちだ。

 2024年末にNEXCO中日本東京支社・八王子支社が実施した調査によると、東名高速道路では冬用タイヤ未着用率が

「69.5%」

に達し、中央道・長野道では17%だった。雪が少ない地域を通る東名の低い着用率が目立つが、最近では神奈川県箱根でも積雪が観測されており、周辺地域で積雪のリスクがあることを考えると、やはり冬用タイヤの着用は重要だ。

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