三菱自はなぜ「経営統合」を見送るのか? 独自路線で生き残れる? 78万台vs300万台……見送りのリスクとASEAN市場の未来を考える
三菱自動車は、ASEAN市場で約3割のシェアを誇り、今後も成長を牽引する重要な地域として位置づけている。しかし、ホンダ・日産との経営統合を見送り、自社の独自路線を選択した背景には、競争激化やブランド価値の希薄化に対する懸念がある。自社の強みを生かしつつ、技術革新と市場適応力を維持するための戦略が問われる。
東南アジア市場の現状と将来性

東南アジア諸国連合(ASEAN)の主要5か国(タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム)は、経済成長が著しい地域のひとつとして知られる。若年層の人口比率が高く、都市化が急速に進展していることに加え、中間層の増加が続いており、自動車需要の大幅な拡大が期待されている。特にタイは
「アジアのデトロイト」
とも呼ばれるほど自動車産業が盛んで、政府による支援政策も充実している。一方、インドネシアはASEAN最大の人口を背景に、乗用車や二輪車で大きな市場を形成している。さらに、ASEAN各国政府が進める電気自動車(EV)促進政策により、今後のEV市場の成長にも期待が集まっている。しかし、
・各国で異なる規制
・輸入関税の障壁
・インフラ整備の遅れ
といった課題も存在する。これらの要因が市場拡大を鈍化させる可能性があるほか、グローバル経済の動向や為替変動の影響も、ASEAN市場の競争環境を一層複雑なものにしている。