日野データ改ざんで判明 環境問題と「内燃開発」に横たわる大いなる矛盾点

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先日話題となった、日野自動車のエンジン試験データ不正問題。再発防止の真因とは何か?

複雑なエンジンの仕組み

ディーゼルエンジンの作動工程概略(画像:大庭徹)
ディーゼルエンジンの作動工程概略(画像:大庭徹)

 エンジンとは、燃料の持つエネルギーを駆動力に変える装置で、代表的なエネルギー源は化石燃料だ。

 図のように、吸入~圧縮~燃焼~排気の4工程(サイクル)を1分間に数千回繰り返すが、サイクルごとにばらつきが発生し、時間の経過とともにそれが変化する。

 部品のばらつきのほか、各サイクルに影響する要因も多い。

 充電状態や温度など、電気自動車(EV)のモーターやバッテリーにもばらつき要因はあるが、エンジンほど複雑ではない。

法規制と顧客の関心

エンジンが担う車両の機能とその背反、関連する法規と顧客の関心度(画像:大庭徹)
エンジンが担う車両の機能とその背反、関連する法規と顧客の関心度(画像:大庭徹)

 エンジンが担う車両の機能とその背反、関連する法規と顧客の関心度を表にまとめた。

 排ガスは法規制だが、顧客の関心は薄い。VWのディーゼルゲートでは、顧客の関心が高い「燃費」を優先するために、「排ガス性能」を偽装した。

狭い燃焼の理想領域

理想の燃焼領域(画像:NEDO)
理想の燃焼領域(画像:NEDO)

 エンジンは、燃料の炭化水素(HC)を空気中の酸素O2で燃焼させるため、一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)が生成する。空気中の窒素(N2)により窒素酸化物(NOx)も生成する。

 さらに、不完全な燃焼によりススや粒子状物質(PM)が生成、あるいはHCが燃焼せずに排出される。その量は燃焼温度(図の横軸)と、空気と燃料の混合比(図の縦軸)に影響される。

 汚染物質の排出を抑制し、燃費を向上し、燃焼を安定させることが可能な理想領域は、図のように狭い。

 運転条件は常に変化し、気温や高度で空気の密度が変わり、地域や国で燃料の質が異なり、部品の経時変化で混合比が変化するなどにより、理想の燃焼範囲を逸脱すると汚染物質の排出量が増え、燃費も悪化する。

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