JALと提携! アラスカ航空が遂に「長距離路線」へ舵を切る理由! 堅実エアラインの転機とは?

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アラスカ航空は90年以上の歴史を持ち、堅実なビジネスモデルで米国航空業界に独自の地位を築いてきた。短距離路線への集中や効率化を強みに成長を続けてきたが、競争の激化や長距離路線の不足といった課題も浮上している。ヴァージン・アメリカの買収やワンワールドへの加盟を経て、今後の持続的な成長には、西海岸需要の確保と機材運用の最適化が鍵を握る。

長距離路線進出の新展開

アラスカ航空737-900ERのエコノミークラスシート(画像:Simply Aviation)
アラスカ航空737-900ERのエコノミークラスシート(画像:Simply Aviation)

 競合の台頭などの苦境を受け、アラスカ航空は2024年9月にハワイアン航空を統合した。統合後も両社のブランドやウェブサイト、予約システム、マイル制度は維持されるが、今後はマイレージの相互利用が可能となり、スケールメリットを活かした展開が進められている。

 さらに、2024年12月には新たな中期経営計画「アラスカ・アクセラレート(Alaska Accelerate)」を発表。2027年までに増分利益を10億ドル、税引き前利益率11~13%を目指すという目標を掲げ、ハワイアン航空とのシナジー効果を活かした戦略を描いている。上級席やラウンジの充実などが進むなかで、特に注目されるのが長距離路線への進出だ。

 2024年5月にシアトル~成田線、10月にシアトル~ソウル線を開設することが発表され、成田線はハワイアン航空とアラスカ航空のウェブサイトで予約できるようになった。運行は自社で大型機材を持つハワイアン航空が担うことになるが、これまで短距離路線にこだわってきたアラスカ航空にとっては大きな決断となる。アラスカ航空は、東アジアへの観光やビジネスの旅客需要、さらには貨物需要を取り込む方針だ。

 また、アラスカ航空は2030年までにワイドボディ機(通路が2つ以上ある大型機。エアバスA330やA350、ボーイングB787やB777など)を導入し、12以上の都市に就航する長期戦略を発表している。

 ハワイアン航空は以前から日本路線にエアバスA330やボーイングB787を投入しており、合併効果をうまく活かす形となった。さらに、ハワイアン航空はハワイ本土や米国内でエアバスA320シリーズも運用しており、これによりアラスカ航空はメインとなる小型機で運行する短距離市場でもボーイング以外の選択肢を得ることができた。

 これにより、アラスカ航空はボーイングB737MAXの問題による影響を軽減し、さらに悪化する状況にも耐えられる体制を整えることができたといえるだろう。

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