JALと提携! アラスカ航空が遂に「長距離路線」へ舵を切る理由! 堅実エアラインの転機とは?
アラスカ航空は90年以上の歴史を持ち、堅実なビジネスモデルで米国航空業界に独自の地位を築いてきた。短距離路線への集中や効率化を強みに成長を続けてきたが、競争の激化や長距離路線の不足といった課題も浮上している。ヴァージン・アメリカの買収やワンワールドへの加盟を経て、今後の持続的な成長には、西海岸需要の確保と機材運用の最適化が鍵を握る。
B737統一でコスト削減

アラスカ航空の強みは、短距離路線に特化することで安定した運航を実現している点にあると筆者(前林広樹、航空ライター)は考えている。
アラスカ航空の国際線は、隣国のカナダやメキシコ、さらにコスタリカなど限られた中南米路線のみで、デルタ航空やユナイテッド航空、アメリカン航空などの大手と比べると地味な印象を受ける。しかし、この短距離路線中心の運航が、
・国際的な紛争
・燃料費高騰
といった国際的な問題に巻き込まれにくく、安定した需要を維持する大きな強みとなっている。
また、アラスカ航空は長年にわたりボーイングB737シリーズを主力機材として使用しており、他の機材は傘下のリージョナル航空が使用するエンブラエイルE175のみという点でも知られている。1990年代までは、MD-83などマクドネル・ダグラス社の機材も多く使用していたが、2016年に買収したヴァージン・アメリカが使用していたA320シリーズは、受注残をキャンセルして全機売却されるなど、すべての機材をB737に統一する方針が貫かれた。機材を統一することで、
・部品調達
・整備コスト
を削減でき、またパイロットの訓練費用も抑えられる。これはサウスウエスト航空やライアンエアーなどのLCCが採用している戦略と同様で、アラスカ航空にとって数十年にわたって強みとなっていた。
しかし、B737を主力機材に統一し、西海岸を拠点に同機で行ける範囲の路線に集中するという戦略で強みを保ってきたアラスカ航空の地位は、ここ数年で大きな挑戦を受けている。その理由については次で説明する。