JALと提携! アラスカ航空が遂に「長距離路線」へ舵を切る理由! 堅実エアラインの転機とは?

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アラスカ航空は90年以上の歴史を持ち、堅実なビジネスモデルで米国航空業界に独自の地位を築いてきた。短距離路線への集中や効率化を強みに成長を続けてきたが、競争の激化や長距離路線の不足といった課題も浮上している。ヴァージン・アメリカの買収やワンワールドへの加盟を経て、今後の持続的な成長には、西海岸需要の確保と機材運用の最適化が鍵を握る。

整備コスト削減の裏側

アラスカ航空は2016年、ボーイングとの関係を記念し、737-900ER型機にボーイング創立100周年を祝うカラーリングを施した(画像:Alan Wilson)
アラスカ航空は2016年、ボーイングとの関係を記念し、737-900ER型機にボーイング創立100周年を祝うカラーリングを施した(画像:Alan Wilson)

 アラスカ航空はボーイングB737への機材統一にこだわってきたが、ここ数年、その戦略が大きな制約となっている。この方針は2010年代半ばまで、整備コスト削減に大きく貢献していた。しかし、ボーイング社は近年、B737MAXの相次ぐ事故や安全性に関する問題、さらに大規模なストライキの影響で、生産が遅れる事態に直面している。

 アラスカ航空は2024年に18機を受け取る予定だったが、第三四半期(9月)までに受け取ったのは12機のみで、競合他社に対抗するための対応や、西海岸での増加する航空需要に応えることができていない。この状況に加え、B737MAXの品質問題がアラスカ航空にも影響を及ぼした。

 2024年1月5日、アラスカ航空1282便(オレゴン州ポートランド発、カリフォルニア州オンタリオ行き)のB737MAX-9機で、非常口のドアプラグが突然外れ、機体に穴が空くという重大なインシデントが発生。乗客と乗員は機体から空気が流出し、酸素マスクを着用しなければならない事態に陥った。幸い、ポートランド空港に無事引き返し、乗客乗員の命は助かったが、墜落事故が起きてもおかしくない状況だった。

 原因はボーイング社の製造過程での見落としで、アラスカ航空のベン・ミニクッチCEOは

「この事態に対して怒りを覚える。組織内での問題を解決してほしい」

とコメントし、失望の意を表明した。機材統一にはコスト削減という強みがあるが、製造会社に問題が発生すると、その戦略は一気に崩壊してしまう。アラスカ航空は、その最悪の事態に直面したといえるだろう。

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