JALと提携! アラスカ航空が遂に「長距離路線」へ舵を切る理由! 堅実エアラインの転機とは?

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アラスカ航空は90年以上の歴史を持ち、堅実なビジネスモデルで米国航空業界に独自の地位を築いてきた。短距離路線への集中や効率化を強みに成長を続けてきたが、競争の激化や長距離路線の不足といった課題も浮上している。ヴァージン・アメリカの買収やワンワールドへの加盟を経て、今後の持続的な成長には、西海岸需要の確保と機材運用の最適化が鍵を握る。

長距離路線における限界

アラスカの737-800の以前のカラーリング(画像:Quintin Soloviev)
アラスカの737-800の以前のカラーリング(画像:Quintin Soloviev)

 西海岸で圧倒的な地位を築いていたアラスカ航空だが、IT産業の成長にともない、競合他社が次々と参入してきている。特に、東アジアや東南アジアの経済成長が著しい地域からの路線が西海岸に集中しており、その乗り継ぎ需要を獲得することが重要なポイントとなっている。

 例えば、ユナイテッド航空はサンフランシスコやロサンゼルスを重要なハブとして、アジアや米国各地を含む世界各地への路線展開を行っている。デルタ航空も最近ではシアトルをアジアや西海岸の拠点として強化しており、アラスカ航空にとっては大きな競争相手となっている。

 しかし、アラスカ航空は小型機しか保有しておらず、長距離路線を運航していない。そのため、同社はワンワールドに所属する航空会社(例えばアメリカン航空、日本航空、キャセイパシフィック航空、スターラックス航空)とのコードシェア(複数の航空会社が共同で運航する便)提携を通じて、長距離路線の欠点を補おうとしているが、他社に頼る形では路線網には限界がある。

 たとえば、ワンワールドの中心となるアメリカン航空は、東海岸やイリノイ州、テキサス州からの国際線が充実している一方で、西海岸からの長距離路線はロサンゼルスからの定期路線がわずか3路線(ロンドン・ヒースロー、シドニー、東京・羽田、季節運行でオークランドを含めた4路線)しかない。さらに、他国の航空会社は自国の都市を拠点とするため、他地域からの路線拡張は難しい。

 そのため、アラスカ航空は米国西海岸~アジア間の長距離路線への展開が限定的であり、アジア各地から西海岸へ到着し米国各地へ向かう需要を競合他社に奪われやすい立場にある。また、アラスカ航空が強みを持っていた米国内や中南米の短距離路線でも、世界最大のLCC・サウスウエスト航空が西海岸からハワイへの路線を展開するなど、競争が激化している。中南米については、メキシコのボラリス(Volaris)など南米の航空会社が脅威となっている。

 このように、短距離路線に特化するというアラスカ航空の長年の戦略が、現在では通用しにくくなっている状況だ。

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