距離がつくる旅情 欧州移住経験者が語る心の変化【リレー連載】現代人にとって旅情とはなにか(3)

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旅の距離が生む感動や癒やし、非日常が与える心のリセット効果は、ただの娯楽を超えた価値を提供する。国内外を問わず、旅がもたらす解放感は、年間6兆円超の観光経済を支える原動力でもある。本稿では、「距離」が鍵となる旅情の本質に迫り、その可能性を経済と心の両面から探る。

旅情を生む「距離」の多面性

 込山富秀『「青春18きっぷ」ポスター紀行』(画像:講談社)
込山富秀『「青春18きっぷ」ポスター紀行』(画像:講談社)

 確かに、距離は旅情を考える際に適した普遍的な基準のように思える。旅情という言葉の定義にあるように、旅情は旅をする人が感じるものであり、それぞれの感じ方が異なる。時代背景にも影響されるだろう。しかし、旅をする人や時代に関係なく、旅情が距離によって生まれるというのは非常に普遍的な感覚だと感じる。

 そして、その距離には物理的な距離だけでなく、

・精神的な距離
・時間的な距離

も含まれる。例えば、旅に非日常を感じるとき、物理的な移動距離だけでなく、日常の気持ちからも距離を置くことになる。日常とは異なる時間の過ごし方をすることで、時間的な距離も感じることができる。

 そのため、実際に旅行に行かなくても、紀行ものの映像を見たり、読書などを通じて日常から距離を置くとき、いわゆる旅情を感じることがあるのではないだろうか。結局のところ、何らかの形で距離を感じた結果として得られる感情こそが旅情なのかもしれない。

 このように納得できる答えが見つかったところでふと考えた。果たして、距離に心が反応して旅情を感じるのだろうか。もしそうなら、もっと多くの距離を越えるほど旅情を感じるはずだ。しかし、距離の多さだけが重要というわけでもないようだ。

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