コロナイメージ脱却なるか? 豪華客船クルーズから見る「次世代の旅行」とは
ヨーロッパのコロナ感染例

新型コロナウイルス感染拡大が収束しない状況下でも、クルーズ海運各社は慎重に感染対策を行いながら、顧客へ豪華客船のクルーズを提供している。一方、航海中に船内感染が判明し、旅行が中断される事例も起きている。ポストコロナ時代における、豪華客船クルーズの見通しについてリポートする。
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豪華客船AIDAnova号が2021年末、ポルトガルのリスボンで新型コロナウイルス感染者発生を受けて運航を中止した。大みそかに行われる花火大会を目的に、モロッコ沖にあるポルトガル自治領マデイラ諸島へ向かう計画だった。
AIDAnova号は、総客室2600室、レストラン16か所、バー23か所を備える豪華客船であり、当日はおよそ3000人が乗船していた。そのうち、乗客4人、スタッフ8人の計12人の感染が判明。なお12人全員が予防接種済みであり、無症状あるいは軽症だった。
豪華客船MSC Grandiosa号は2021年12月28日、5日間の航海予定で、フランスのマルセイユを出港した。およそ5000人が乗船していたが、航海途中における定期検査で150人の新型コロナウイルス感染者を確認した。同船はイタリアのジェノヴァで150人を下船させ、航海を続行。その後、11人の乗組員と4人の乗客、計15人の感染が見つかり、スペインのパルマに到着後、15人は下船した。
この2件のコロナ感染例だけで見ても、年末年始の休暇中に約8000人もの乗客が豪華客船を楽しんでいたことになる。
正確な数値は把握されていないものの、この2隻以外にも豪華客船が運航されており、相当数の乗客がこの年末年始に船旅を満喫していたことが容易に想像できる。新型コロナウイルス感染拡大時においても、ヨーロッパではクルーズに対する需要は根強く残っているのだ。