ロシアの弱点は「道路輸送」だった! 特異な物流構造からウクライナ侵攻を考える

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ロシアの物流構造の特徴は、鉄道、パイプラインといった装置型輸送路のシェアが高い。また、道路輸送のシェアが極端に低いという物流構造の特徴はさらに強まっている。

ロシア・ウクライナ両国の物流の特徴

ウクライナと国境を接するロシア南部ロストフ州の道路を進むロシア軍車両(画像:AFP=時事)
ウクライナと国境を接するロシア南部ロストフ州の道路を進むロシア軍車両(画像:AFP=時事)

 2022年2月24日に始まったロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻は首都キエフ近くで膠着(こうちゃく)状況を続けている。

 ここではこの戦役の背景として、ロシアおよびウクライナ両国の物流構造を探ってみよう。

 まず、ロシア、およびウクライナの物流の特徴を理解するため、両国の輸送モード別の貨物輸送分担率を見てみよう。

「t・km」という単位

貨物輸送における分担率の国際比率(画像:本川裕)
貨物輸送における分担率の国際比率(画像:本川裕)

 図には、世界の主要27か国の貨物輸送の分担率を掲げた。ここで、分担率とは各輸送モードのt・km(トンキロ)ベースの輸送量の構成比をいう。

 t・kmとは、輸送した貨物の重量に輸送距離をかけた貨物輸送総量を表す単位。データは、ヨーロッパ諸国を中心に世界63か国が加盟する国際機関であるITF(International Transport Forum、国際交通フォーラム)が取りまとめている輸送統計による。

 ロシアの2019年の輸送量は鉄道が2兆6025億t・km、道路が2639億t・km、内陸水運が659億t・km、パイプラインが1兆3685億t・km、沿岸海運が210億t・kmとなっており、輸送分担率は鉄道が60%、道路が6%、内陸水運が2%、パイプラインが32%、沿岸海運は1%未満となっている。

 ウクライナの分担率は、鉄道が70%とロシアよりもさらに高く、道路は25%、内陸水運が1%、パイプラインが4%となっている。ウクライナの沿岸海運のデータはない。

 27か国を比較した図を俯瞰(ふかん)的に眺めると、鉄道先進国だった西欧諸国では今や道路輸送が大勢を占めるようになっている点(オーストリアは例外)、旧共産圏の中でも旧ソ連諸国では鉄道輸送がかなりのシェアを占めている点、また米国、カナダ、オーストラリアといった西欧の旧海外植民地ではやはり鉄道のシェアがなお高い点などが目立っている。