高速道路無料化、なぜこんなに遅い? 2115年まで待つ? その理由と課題を考える
高速道路無料化、実現は遠い未来なのか。1963年に名神高速が開通して以来、半世紀以上の時を経て、無料化の計画は何度も延期され続けている。2023年、政府はその実現を「2115年」に先延ばし。現状と課題を探る。
料化は2115年まで延長決定

現在予定されている高速道路の無料化の時期について、2023年に、これまでの2065年までの方針が50年延長され、91年後の
「2115年」
まで引き延ばすことが決定された。ちなみに、2115年というと、人気マンガ・アニメのドラえもんが2112年9月3日生まれのため、
「ドラえもんが生まれてから3年後」
となる。実にシュールだ。つまり、今の私たちが生きているうちには、無料化は実現しないのだ。
無料化されれば、利用者にとってはうれしいことだが、その一方で弊害もあるのは事実だ。私たちが作り上げてきた負債を未来の人々に負わせるのはどうかとも思う。無料化への道のりは長く険しいのだ。
無料化社会実験、政権交代で終息

2010(平成22)年度に、高速道路が無料となる社会実験が行われた。
この実験は、民主党が以前から掲げていた高速道路無料化のマニフェストに基づいて実施されたもので、2009年に政権を獲得した後にスタートした。民主党は2003年から
「地方を活性化するとともに、流通コストの削減を図る」
を目的として、高速道路の無料化を提案していた。
その実験は2010年6月28日に開始され、地域経済への影響や渋滞、環境への効果を調査することが目的だった。当初、
・37路線50区間
・合計1626km
が対象となり、これはNEXCO3社が管轄する高速道路全体の約18%に相当する距離だった。
2011年2月には翌年度の計画案も発表されたが、同年3月11日に東日本大震災が発生したことを受け、復旧・復興のための資金が必要となり、2011年6月20日に無料化実験は一時的に凍結された。
その後、2012年の総選挙で民主党が大敗し、自民党が政権を再び握ったため、この無料化社会実験は実質的に終了した。