東洋の精神性とアドベンチャーツーリズム【短期連載】なぜいま岡倉天心なのか(3)

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アドベンチャー・ツーリズムが注目を集めるなか、岡倉天心が守ろうとした日本の文化財、特に「茶の湯」が再評価されている。この旅行スタイルでは、伝統文化の深い精神性を体験でき、地域の自然や文化を学びながら自己変革を促すことができる。また、観光業の成長にも貢献しており、2023年にはアドベンチャー・ツーリズム市場が76兆円規模を超えた。日本では金沢や東北海道などで新たな文化体験が提供され、外国人観光客の関心を集めている。

市場規模76兆円

Adventure Travel Trade Associationのウェブサイト(画像:Adventure Travel Trade Association)
Adventure Travel Trade Associationのウェブサイト(画像:Adventure Travel Trade Association)

 世界約100か国から1400会員を擁する国際的なアドベンチャートラベル業界団体「Adventure Travel Trade Association」は、アドベンチャー・ツーリズムを

「アクティビティ体験、自然体験、文化体験の三つの要素のうち、ふたつ以上の要素で構成される旅行」

と定義している。地域独自の自然や地域のありのままの文化を、地域の人とともに体験し、旅行者自身の自己変革・成長の実現を目的とする旅行形態だ。

 米国の調査会社Global Market Insights Incは、2023年のアドベンチャー・ツーリズムの世界市場規模は

「4833億米ドル(約76兆円)」

と推定している。

 アドベンチャー・ツーリズムの振興に力を入れる観光庁は、知床など手つかずの大自然が残る「東北海道エリア」などとともに、金沢を中心にさまざまな文化や伝統産業の宝庫である「北陸エリア」の魅力を世界に発信しようとしている。

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