京都市民の怒り爆発寸前? JR嵯峨野線「インバウンド大混雑」、JR西が抜本的対策を採らないワケ
通勤ラッシュ並みの大混雑今も
京都市を走るJR嵯峨野線の混雑が深刻さを増している。嵐山地区へ向かう外国人観光客が殺到しているためだが、抜本的な混雑解消策は取られないまま。どうしてだろうか――。長雨がやんだ週末の昼前、京都市下京区のJR京都駅に入ると、構内の西端にある嵯峨野線のホームまで人の波が続く。ホームは出発まで10分以上あるのに、乗車を待つ外国人観光客でいっぱい。4両編成の普通列車が到着して乗客が乗り込むと、車内は瞬く間に満員になった。
外国人観光客の大半が向かうのは、右京区と西京区にまたがる名勝の嵐山地区。右京区の嵯峨嵐山駅に到着するまでの約15分間、SNSで「地獄絵図」と呼ばれる大混雑が続いた。横浜市から英国人の夫とやってきた30代の日本人女性は、
「まるで朝の通勤ラッシュ」
と目を丸くする。
外国人観光客が一斉に下車すると、列車がガラガラ状態でホームを離れる一方、改札前が大渋滞に。
やがて、外国人観光客は渡月橋や竹林の道、保津峡を走る嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車など嵐山の名所へ向かい、陽気な歓声を上げていた。
地元大学生から怒りの声
嵯峨野線は京都駅から近畿、中国地方の日本海側を通って山口県下関市の幡生駅へ向かう山陰本線のうち、京都駅から京都府南丹市の園部駅に至る34.2kmの愛称。東海道新幹線で京都駅へやってきた観光客が嵐山地区へ向かうのに便利で、混雑が常態化している。
嵯峨嵐山駅に停車しない特急列車を除くと、日中の運行本数はおおむね1時間に快速列車1本と普通列車3本しかない。
しかも、基本的に4両を中心とする大都市圏では小規模編成で運行している。このため、京都市中心部を走る生活路線であるにもかかわらず、
「混雑で乗れない」
という不満が出るなど市民の暮らしに影響を与えている。
北区から市営地下鉄と嵯峨野線を乗り継いで中京区の花園大学へ通学する女子学生(19歳)は
「地下鉄から嵯峨野線に乗り換えるたびに気が重くなる。どうしてJR西日本は混雑解消に手を打ってくれないのだろう」
と怒りをぶつけていた。