消えた巨星「トランス・ワールド航空」 96年墜落事故と自由化の波に呑まれた栄光の終焉を振り返る
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米国航空史の象徴であるトランス・ワールド航空は、ハワード・ヒューズのもとで飛躍的に成長した。しかし、1978年に航空自由化が進むと急速に衰退していった。1996年には大事故が発生し、その後も経営破綻が続いた結果、2001年にアメリカン航空に吸収された。
破綻を招いた構造的問題

TWAはロッキード・コンストレーションをはじめとする多くの親衛機材の開発に関わり、機内で映画を初めて上映するなどサービス面でも大きな功績を残した。パンナムと同様に、米国航空業界を語る上で欠かせない会社のひとつだが、航空自由化後は劇的な変化が少なく、結果的に埋没していったと考えられる。
例えば、国内線を強化するとしても、買収した航空会社がそれほど強力ではなく、全米各地に路線網を広げるには西海岸を中心に物足りない点が目立った。
以前紹介したパンナムでも同様の問題が指摘されている。また、労働組合運動が盛んな欧州にも乗務員の拠点を持っていたため、大胆なコストカット策を講じることができなかったことも問題だった。
TWAの破綻原因は1996年の大事故だけではなく、こうした構造的な問題を解決できなかったことにもあるといえる。
●参考文献
・チャーリー古庄(2021)「写真で見る消滅エアライン600」イカロス出版 p116
・Chris Loh The Rise and Fall of TWA Simple Flying, May 29, 2020 (Retrieved by October 5th, 2024)
・Trans World Airlines -A Long Road to Failure Legends of America (Retrieved by October 5th, 2024)
・TWA hotel
・TWA Unions Hang Together Against Lorenzo. Los Angeles Times. 1985-06-26. Retrieved 2021-04-14.