消えた巨星「トランス・ワールド航空」 96年墜落事故と自由化の波に呑まれた栄光の終焉を振り返る
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米国航空史の象徴であるトランス・ワールド航空は、ハワード・ヒューズのもとで飛躍的に成長した。しかし、1978年に航空自由化が進むと急速に衰退していった。1996年には大事故が発生し、その後も経営破綻が続いた結果、2001年にアメリカン航空に吸収された。
TWA遺産の象徴

規制緩和前の米国航空業界を代表するTWAは、消滅から20年以上が経過した今でも多くの遺産がある。特に有名なのが、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港にあるTWAホテルだ。
この建物はかつてTWAの大西洋線が多く発着した第5ターミナルで、近未来的なデザインから20世紀後半の米国を象徴する名建築として知られている。名作映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』にも登場し、米国文化を彩ったこの建物は、TWAの倒産後、新興航空会社ジェットブルーの拠点として利用された後、ホテルとして改装された。
ホテル内には、滑走路を望む屋上プールやスイートルームなど、空港ならではの旅情あふれる設備が整っており、TWAのロゴ入りグッズが多数販売されているショップも存在する。これにより、多くの乗客がTWAで旅立った歴史が色濃く残る場所となっている。
また、ハワード・ヒューズが開発に大きく関わったロッキード・コンストレーションもTWAの歴史的な遺産のひとつだ。TWAの躍進のきっかけとなったこの機体は、TWAホテルをはじめ、各地の博物館に保存されており、レシプロ機黄金時代の名残を今に伝えている。