消えた巨星「トランス・ワールド航空」 96年墜落事故と自由化の波に呑まれた栄光の終焉を振り返る
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米国航空史の象徴であるトランス・ワールド航空は、ハワード・ヒューズのもとで飛躍的に成長した。しかし、1978年に航空自由化が進むと急速に衰退していった。1996年には大事故が発生し、その後も経営破綻が続いた結果、2001年にアメリカン航空に吸収された。
米国横断路線の新たな時代

TWAは、1925年にウエスタン・エアー・エキスプレスとして設立された。5年後の1930年には、当時の大手航空会社と合併し、トランスコンチネンタル・アンド・ウエスタン・エアーという名前になった。そして、ニューヨーク~セントルイス~ロサンゼルス線の運行を開始した。
全米に展開し攻勢をかけていた矢先の1939年、TWAは当時の大富豪であり著名な飛行家でもあるハワード・ヒューズに買収された。彼は、世界最大の飛行艇であるスプルース・グースを製造したことで知られており、彼の情熱のもとで航空会社は発展していった。
1939年からはレシプロ旅客機であるロッキード・コンステレーションの開発プロジェクトにも参画。第2次世界大戦を乗り越え、1945年に就航した同機は、米国横断を無着陸で可能にするなど、当時としては異例の性能を誇った。
TWAは、1946年にニューヨーク~ロサンゼルス間の大陸横断路線にロッキード・コンステレーションを投入した。同年には、ニューヨーク~パリへの大西洋路線にも同じ機材を使い、国内線と大西洋路線を中心に大きなシェアを持つ航空会社として発展していった。