クラファンで1300万円獲得 全長14kmのローカル線「北条鉄道」を支える熱き兵庫魂

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長期化する新型コロナウイルス禍により、鉄道各社は減収減益に追い込まれている。そうしたなか、兵庫県小野市と加西市を約13.7kmで結ぶ北条鉄道が奮闘している。

通勤需要が近年増加

北条鉄道(画像:写真AC)
北条鉄道(画像:写真AC)

 長期化する新型コロナウイルス禍により、鉄道各社は減収減益に追い込まれている。そうしたなか、兵庫県小野市と加西市を約13.7kmで結ぶ北条鉄道が奮闘している。

 北条鉄道は1985(昭和60)年、国鉄から切り離された。そして新たに第三セクターとして出発したが、その後も沿線人口の減少やマイカー利用の拡大によって、収支が好転したとは言えない状況が続いていた。なお第三セクターとは、

・国や地方公共団体(第一セクター)
・民間企業(第二セクター)

の共同出資による事業体を指す。

 北条鉄道の沿線は、兵庫県の県庁所在地である神戸市や、第二の都市として発展する姫路市との中間に位置する。こうした立地的な面から、少しずつベッドタウン化が進んだ。そして近年は通勤需要が増え、朝・夕のラッシュ時に混雑するようになった。

通勤ラッシュ緩和に立ちふさがる障壁

兵庫県の南部に位置する加西市(画像:(C)Google)
兵庫県の南部に位置する加西市(画像:(C)Google)

 こうした状況を受けて、北条鉄道や兵庫県や沿線自治体の加西市・小野市は通勤時の混雑ラッシュを緩和する対策に取り組むことになった。

 北条鉄道は、JR・神戸電鉄との乗換駅となっている粟生(あお)駅を除いて、すべての駅が加西市内にある。そのため北条鉄道の混雑緩和対策は、特に加西市にとっても解消しなければならない行政課題になっていた。

 混雑を解消するには、

・運行本数を増やす
・1本の列車定員を増やすべく超大編成化する

しかない。

 しかし、北条鉄道は全線が単線。複線化するには用地買収をはじめ、線路・駅ホームなどの建設工事を要する。また長大編成化するにしても、ホームの延長工事が必要になる。

 どちらも莫大(ばくだい)な工費を投じることになるが、北条鉄道の混雑はほぼ朝のラッシュ時に限定されていた。昼間帯はローカル線然とした雰囲気で、こちらは特に混雑していない。

 費用対効果を考えれば、朝のラッシュ時だけのために莫大な工費を投じることはできない。そうした背景から、北条鉄道は単線でも駅で行き違いできるように中間地点の法華口(ほっけぐち)駅に行き違い設備を整備することになった。

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