JR東海から突然720万円の請求書! 2007年「認知症鉄道事故」から考える超高齢化社会の行方、いまや認知症行方不明者は年1万9000人という辛らつ現実

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2025年には日本の高齢者の5人にひとりが認知症に。事故や訴訟で問題が増大するなか、民間保険の加入率は60自治体にとどまる。鉄道事故や賠償責任の課題が深刻化し、国や自治体の対策強化が急務だ。

認知症事故補償の現状

JR東海のロゴマーク(画像:JR東海)
JR東海のロゴマーク(画像:JR東海)

 日本では2025年までに高齢者の5人にひとりが認知症になると推計されており、その対策が急がれている(約700万人)。

 認知症の人のひとり歩きは、地域の交通安全に関わる。過去には電車事故が起き、同居の家族と離れて暮らす長男を相手取り、720万円の損害賠償請求訴訟が起こされたこともある。

 その結果、最高裁は「同居家族は高齢であり、長男は離れて暮らす。よって、家族の監督義務はなし」として、長男は責任を免れた。ただ、公共交通も損害を被っている。認知症との共生社会を前に、どこに賠償責任を求めればいいのかわからない。

 そこで、神戸市のように認知症の人の事故を補償する民間保険に加入している自治体もある。一定の条件を満たせば、自治体が補償保険料を負担するため、条件さえ整えば実質的に無料で賠償保険を利用できる。

 しかし、なぜ一部の自治体しかこのサービスを提供していないのだろうか。国は対策を講じているのだろうか。

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