JR東海から突然720万円の請求書! 2007年「認知症鉄道事故」から考える超高齢化社会の行方、いまや認知症行方不明者は年1万9000人という辛らつ現実

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2025年には日本の高齢者の5人にひとりが認知症に。事故や訴訟で問題が増大するなか、民間保険の加入率は60自治体にとどまる。鉄道事故や賠償責任の課題が深刻化し、国や自治体の対策強化が急務だ。

無人駅の危険

高齢者(画像:写真AC)
高齢者(画像:写真AC)

 2022年には、認知症に関連する行方不明者が約1万8700人となり、10年前の2012(平成24)年の約9600人の「2倍」となった。また、認知症の人が線路内で巻き込まれる事故は、いまだにに発生している。

・認知症の90代男性、線路立ち入り…列車にはねられ死亡(読売新聞、2021年)
・認知症の79歳男性 電車にはねられ死亡 線路内に進入か 神戸(NHK、2023年)

 関西大学政策創造学の白石真澄教授は2016年、「鉄道のバリアフリーについて~認知症への対応~」と題して、認知症の人が関わる鉄道事故の現状について報告している。引用する。

「GPS(編集注:衛星利用測位システム)を着けていたのに、認知症の夫は間違ってホームから線路に降りてしまい、線路伝いに歩いてトンネルの中で亡くなった。駅員が少ない場所では人がホームに降りても分からない。間違って線路に人が立ち入ったとき、人に反応するセンサーが各駅に必要である」

 認知症の人は増えており、無人駅は危険なことが多い。そもそも無人駅が増えている。一方、認知症の人の事故を補償する民間保険に加入している自治体は、2020年時点の調査で60にとどまり、全国的な対応とは言い難い(日本総合研究所調べ)。

 認知症の人を含めた「責任能力が乏しい人の賠償責任」を議論し、社会全体で認知症を理解し、事故防止対策を実施することが必要である。そのためには、現状を知ることができる最新の調査が必要である。

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