ロシアの軍事侵攻「対岸の火事」ではない モビリティ業界への打撃、米国中国の動きとは
ロシアがウクライナに対する軍事侵攻に踏み切った。日本経済が受けるであろう打撃と、米国・中国の今後の動きを探る。
ウクライナ 民間人も死亡と発表
ロシアのプーチン大統領は2022年2月21日(月)、国民向けの演説で「ウクライナは単なるロシアの隣国ではない、われわれの歴史や文化、精神的空間は不可分だ」との意志を表明した。
ウクライナ東部のルガンスク州とドネツク州の一部を実効支配する親ロシア派武装集団が一方的に独立を宣言している二つの人民共和国(ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国)を独立国家として承認する大統領令に指名した。
そして、2月24日(木)、ついにロシアはウクライナに侵攻した。ウクライナ政府によると、同日だけでもロシア軍による大規模な軍事侵攻によって国内全土で少なくとも57人が犠牲となり、169人が負傷したというが、実際の人数はもっと多い可能性もあろう。
ロシア軍とウクライナ軍では軍事力の差は明らかであり、すでに空港など重要施設はロシア軍に破壊され、本稿を執筆している2月25日(金)午後現在、首都キエフがロシア軍に掌握(しょうあく)されるのも時間の問題だとの見方も上がっている。
プーチン大統領には、キエフを掌握することで今日の親欧米的なウクライナ政府を打倒し、親ロシア的な政権を誕生させる(いわゆる かいらい政権)狙いがあるとの見解も聞かれる。
では、今後のウクライナ情勢によってモビリティ業界など日本経済はどのような影響を受ける恐れがあるのか。
まず、一つ確認したいことがある。
欧米とロシアの対立が深まるなかプーチン大統領は軍事的手段に出たわけだが、今後、バイデン政権の米国が同じように軍事的手段でロシアに対抗する可能性は極めて低い。