「運転しかできないくせに」 タクシードライバーを平気で“職業差別”する人たちに欠けた現状認識力、彼らはエッセンシャルワーカーである
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タクシー運転手は過酷な労働環境で働いている。長時間労働と低賃金。十分な休日もない。にもかかわらず、彼らの社会的地位は高くない。インターネット上では、この職業を軽蔑する声さえ上がっている。
処遇改善が急務

こうした困難を乗り越え、タクシーサービスをより持続可能なものにするためには、業界自らが変革の道筋を描かなければならない。ライドシェアの是非を議論することも重要だが、その前に業界が取り組むべき課題は山積している。なかでも最優先されるべきは、運転手の
「処遇改善」
である。低賃金と長時間労働を改め、魅力ある職場環境を整備することで、優秀な人材の定着と確保につなげていく必要がある。加えて、接客の質を高める教育体制の充実も欠かせない。運転手ひとりひとりが、
・自らの仕事に誇りを持ち、プロとしての自覚を持ってサービスを提供できる環境を作ること
・利用者の信頼に応え、安全・安心を何よりも優先する企業文化を根付かせること
である。地道だが、その積み重ねこそが、タクシー運転手の社会的地位の向上につながるはずだ。
前述の1999年の裁判は、雲助という言葉に対する社会の認識を大きく変えるターニングポイントとなった。しかし、それから20年以上が経過した今なお、タクシー運転手をはじめとする交通・運輸業従事者は、厳しい労働環境と社会的偏見に直面している。
差別的な言葉のニュアンスに細心の注意を払い、そのような差別を生み出している社会構造そのものを見直す必要がある。多様な職業に従事する人々の尊厳と価値を認め、その労働条件を改善し、社会的地位を向上させることは、私たちひとりひとりの責任である。