フードデリバリーで働く人は「労働者」と呼べるのか? そもそも労働法はフリーランスを保護できるのか、という根本疑問
形式的にはフリーランスだが、実態は労働者に近いというケースが散見される。本書はこうした現状を指摘し、フリーランスの「労働者性」に注目し、保護すべきだと主張する。
「労働者性」のずれ

トラックの持ち込み運転手は、自らトラックを所有し、運送業者として登録を行っているが、実際には取引会社が1社しかないというケースもあり、運送会社の従業員とほとんど変わらない働き方であることも多い。
1980年代からこのようなトラック運転手の労働者性を争う裁判が行われたが、最高裁は1996(平成8)年のトラックの持ち込み運転手が労災の適用を求めた裁判で、
・トラックを保有している
・他の従業員に比べてはるかに時間的拘束が緩やかだった
ことなどを理由に、その労働者性を否定している。
この労働者性だが、本書では
・労働基準法(労基法)における「労働者性」
・労働組合法(労組法)における「労働者性」
が少しずれていることを指摘している。
例えば、自転車で書類を配達する「ソクハイ」のバイシクルメッセンジャーやNHKの集金スタッフについては、労基法上の労働者性は否定されたものの、労組法上の労働者性は認められているのだ。
労基法上の労働者性も、労組法上の労働者性も、認められるかどうかのポイントは、
・事業組織への組み入れ(労務提供者が、事業遂行に不可欠な労働力として会社の組織に組み入れられていること)
・業務の依頼に応ずべき関係
・広い意味での指揮監督下の労務提供
・機械や器具の負担関係
などであるが、労組法における判断のほうが、業務の依頼に応ずべき関係、広い意味での指揮監督といった要素をより緩やかに解釈しているという。
ウーバーイーツの配達員に関しても、東京都労委は2022年に労組法上の労働者性を認め、ウーバーイーツ・ジャパンに対して団体交渉に応じるように命じている。