配達ドライバーにとって「AI」は天使か悪魔か 過剰なまでに進められる業務効率化、事故リスク生み出す可能性も

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近年広まるAIを使った宅配サービス。その行く末とは。

崩壊したドライバー業界の地位

宅配ドライバー(画像:写真AC)
宅配ドライバー(画像:写真AC)

 人流や物流で「効率性」が徹底して求められている。近年、物流需要は急速に拡大。経済活動の電子化により、電子商取引も急成長を遂げてきた。さらに、コロナ禍における「巣ごもり需要」が需要増大に拍車をかけた。

 2002(平成14)年の道路運送法の改正以降、交通・運輸業界で規制が大幅に緩和され、参入障壁が著しく低くなった。そのため、零細企業の新規参入が激増し、供給過剰の状態となった。結果、業者間の生き残り競争や価格の引き下げ競争が激化した。

 もちろん利用者にとって、

「表面的によい状況」

となったものの、業者は低価格を実現するためにコストを削減し、ドライバーの労働条件が急激に悪化した。私たちは、このような低価格化が交通事故の原因となることを認識しなければならない。2016年に軽井沢で発生したバス事故などは、最たる例だろう。

 低価格化によってドライバーの地位は崩壊し、

・生活費を得るために短期的で働く
・転職がきかないために業界にとどまる

ドライバーが主体となり、高齢化などが進んだ。そんななか、交通・運輸業界は人工知能(AI)の導入・活用によって事態の改善を図ろうとしている。はたして、このことをどう捉えるべきか。

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