「物流部門 = お荷物社員」は時代遅れ! 最新の“物流人材”に求められる高度スキルをご存じか
高度人材を育成する難しさ

物流業務に従事する人材のスキルアップの重要性は政府も掲げており、国土交通省は2023年に「物流起点の価値創造を実現する人材の育成に向けて」と題した調査報告書を発表した。同報告書では、「高度物流人材の確保・育成」の重要性を認識し、次の提言を行っている。
・物流は企業の新たな付加価値創造の源泉となりうる存在であり、人材の育成・確保こそがその鍵を握る
・製造業や卸売業、小売業といった荷主企業において、物流は原材料や部品、商品の調達、生産・製造、販売に至るサプライチェーン全体を見渡すことができる立ち位置にある
・物流企業においては、物流に関する専門的な知識・ノウハウ・技術・アセットといった 自社の経営資源を使って、荷主企業の新たな付加価値創造を提案・主導・支援することができる立場にある
さらに、報告書のなかで今後求められる高度物流人材像として、次の三つが示されている。
・デジタル化に対応し、データドリブンで思考する能力:デジタル化・データサイエンスに関する知識や、これを物流分野に適用する能力
・サプライチェーンを全体最適化の視点からマネジメントする能力:物流に加え関連する業界全体を俯瞰(ふかん)的に把握し、物流と製造、販売等のサプライチェーンの各段階を理解し、全体をマネジメントする能力
・社会変化に対応し、新技術導入や異分野連携を推進できる能力:様々な社会の変化を把握し、物流にまつわる現状分析や課題設定を的確に行い、企画・立案に適切に生かす能力
こうした人材像は、確かにこれからの時代に重要で不可欠な人材であることを示唆しているし、それを疑う余地はない。しかし、そのような「高度な人材」を自社で育成するには、かなり高いハードルがあると感じている企業も少なからずあるだろう。特に、中小の荷主企業や物流企業では、自社でそこまで人材を育成するのは難しいと感じているのではないだろうか。