ハイブリッド車がいくら再評価されても、「EV」がなくならないビジネス上の理由

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EVの需要が伸び悩み、HVやPHVに注目が集まっているが、このままEVが衰退することはないだろう。その理由はどこにあるのだろうか。

消費者のEVへの関心

EVのイメージ(画像:写真AC)
EVのイメージ(画像:写真AC)

 現在、電気自動車(EV)の需要は伸び悩み、踊り場を迎えている。その代わり、日本企業が得意とするハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)に注目が集まっていることはいうまでもない。

 しかし、EVがこのままフェードアウトする――というわけではない。2030年代には、ガソリン車に代わって自動車の主流になるのはほぼ確実だろう。2023年4月の先進7か国(G7)気候・エネルギー・環境大臣会合で採択された共同声明は、

「2035年までにG7保有シュア量からのCO2排出を少なくとも2000年比で共同で50%削減する」

としている。EVは今後10年間でさらに普及すると予想されている。

 筆者(川名美知太郎、EVライター)は昨年、当サイトに「EVの未来は明るい! 自動車ユーザー2万人調査でわかった、ネット“フルボッコ状態”とは異なる意外な結果とは」(2023年12月28日配信)を寄稿した。

 そこでは経営コンサルティング業務を行うリブコンサルティング(東京都千代田区)が自動車ユーザーを対象に実施したウェブアンケートの結果から、日本でEVが日常生活を便利にする“道具”として受け入れられつつあることを論じた。消費者の意識の変化も、EVの普及を後押ししているのだ。再確認のためにも、アンケートの結果(八つの箇条書き)を再度貼る。

・EVへの興味関心度は、興味あり・普通・興味なしでほぼ3分割
・EVへの乗り換え意向度は、約半数はそもそも考えたこともないが、3割は乗り換え検討を考えている
・EV関連の情報・知識は、走行音が静かや維持費が安いといった基礎情報以外は8割以上知られていない
・EVについての印象は、ポジティブがネガティブを2倍近く上回っているものの、どちらでもないが約半数を占めている
・EVについての情報を得られていないor今得る必要がないので判断がつかない人が多いと思われる
・EVのメリットやEVを所有している人の声などの発信がまだまだ必要
・エリア別では、大都市部の方がEVへの興味度合いが高く、EVへの印象もよい
・年代別では、20代が興味度合いが高く、EVへの印象もよいが、50代が全般的に低い結果

 アンケートは、全国47都道府県在住の20~60歳以下の男女の自動車所有者を対象に、インターネットを通じて実施された(2万2166人。バッテリー式電気自動車〈BEV〉ユーザーはうち303人)。EVに関する調査は過去にも数多く実施されているが、サンプル数の多さを考慮すると、動向把握に役立つだろう。

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