自転車「青切符」導入 警察官の単なる“点数稼ぎ”に繋がらないか? 反則金は5000~1万2000円という想定
増加する自転車事故
昨今の自転車事故の増加を受け、警察庁は16歳以上の自転車利用者を対象に「青切符」を導入する方針を固めた。この反則金制度は、自転車のマナー向上にどれほどの効果があるのだろうか。一部では、警察官の“点数稼ぎ”の取り締まり強化につながるとの懸念も広がっている。
警察庁は8月に有識者検討会を立ち上げ、自転車への反則金の導入議論などを進め、12月に中間報告書を公表した。反則金は5000~1万2000円となる見込みだ。このなかで警察庁が反則金の導入に踏み切った理由として、自転車事故の悪化を挙げている。
警察庁の統計によれば、2022年の交通事故件数は30万839件、死者および重傷者数は2万8637人(死者2610人、重傷者2万6027人)で、一貫して減少傾向にある。一方で、自転車事故だけは、これと正反対の動きをみせている。
・2020年:6万7673件
・2021年:6万9694件
・2022年:6万9985件
交通事故全体に占める自転車関連事故の割合は、2016年の18.2%にだったものが2022年には
「23.3%」
に上昇した。自転車に乗っていて事故に遭い死亡、重傷を負った事故は2022年には7107件発生しているが、そのうち約4分の3は
・安全運転義務違反
・交差点安全進行義務違反
・一時不停止
など自転車側の違反に起因するものだった。さらに、中間報告書で、警察庁は2023年に実施した自転車の交通ルールなどのアンケートをもとに問題点を分析している。
報告書によれば、基本的な交通ルールを問う問題では正答率が高かった一方で、「自身がそれらの交通ルールを守ることができているか」という問いに対しては「交通ルールを守ることができている」と回答した者の割合が、「正しい交通ルールを認識している」と回答した者の割合を下回る結果となった。
このことから、警察庁は
「正しい交通ルールを認識しているにもかかわらずルールを守っていない層が一定数存在する」
と分析している。