自転車の「青切符」導入 危険運転に効果てきめんも、摘発強化より情報周知が先決だ

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警察庁は自転車の交通違反に対する新たな対策として、交通反則通告制度の適用に向けた検討を開始した。交通反則通告制度とは要するに、交通違反に対して青切符を発行し、反則金を科すことで処理する制度である。

法的にずさんな運転実態

自転車(画像:写真AC)
自転車(画像:写真AC)

 自転車は道路運送車両法に定める「軽車両」に該当する。運行にあたっては、道路交通法に基づいて適正かつ安全に使用することが義務づけられている。

 しかし、現在の社会における運転実態は、法的にはかなりずさんであることは否めない。

・車道の逆走
・歩道の複数台数での並走
・歩行者を無視した威圧的な走行
・ふたり乗り
・夜間無灯火
・傘差し片手運転
・スマホ脇見運転

など、法的に問題のある運転といえば枚挙にいとまがない。歩行者として、このような運転をしている自転車と衝突しそうになった経験がある人も少なくないだろう。

 自転車の違法運転は現在、悪質な場合は交通切符(赤切符)による取り締まりの対象となっている。しかし、捜査や事務手続きが煩雑なため、実際に刑事事件として処理されるケースは多くない。仮に赤切符で捕まったとしても、よほどのことがない限り、最終的には不起訴になるケースが大半である。

 警察庁によると、2022年1年間の国内自転車関連の違反件数は2万4549件。その数は増加傾向にあり、10年前と比べると

「3.4倍」

に増えている。さらに、自転車が関係した7107件の重傷・死亡事故を精査したところ、約7割で自転車側にも過失があった。

 このように、自転車関連事故の状況は決して楽観できるものではない。その上、すでに述べたように、自転車乗りを取り締まる有効な手段がなければ、状況はまさに八方ふさがり状態なのである。

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