海洋国ニッポンに「波力発電」を 商船三井が英メーカーに出資、国内の適地調査も開始へ
協業関係を強化、波力発電の事業化を推進
商船三井は、波力発電装置開発メーカーの英Bombora Wave Power(ボンボラ ウェイブ パワー)への出資を行ったと発表した。両社は2020年に協業を開始。今回の出資を通じて商船三井は「ボンボラ社の運営関与も含めた関係強化を図る」としている。
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ボンボラは、波力発電装置や、洋上風力発電装置を波力発電装置と一体化させた構想「InSPIRE(インスパイヤ)」の技術開発を進めている企業。
商船三井は2021年1月、日本・アジアでの波力発電事業の可能性を探るためボンボラとの協定締結を発表。ボンボラ独自開発の波力エネルギー変換装置「mWave(エムウェイブ)」による波力発電プロジェクトの検討を開始することなどを明らかにしていた。
今回の発表で同社は、これまで検討を進めてきた日本と周辺地域に加えて、欧州地域におけるmWaveを用いた波力発電の事業化をさらに推進するとした。
mWaveは、波力エネルギーを利用し、環境に優しく、安定的にコスト競争力のあるエネルギーを世界中に供給するシステムとして「波力エネルギー変換装置の中でもユニークなもの」。すでに特許を取得している。
ボンボラは商船三井からの出資金を、今後数か月以内に英ウェールズ沖で実施される1.5MW級のmWaveを用いた発電実証実験など、mWave技術のさらなる開発・運用能力の向上に活用する予定という。
商船三井は、ボンボラへの出資を通じて両社の関係をさらに強固なものとしつつ、ターゲットとなる地域でのサプライチェーンの構築やこれまで海洋事業で培ったノウハウを活用することで、同社の技術とmWaveがもたらすグローバルな事業開発をいっそう加速させるとしている。
また同時にInSPIREの技術開発と事業化も進め、再生可能エネルギーの統合ソリューションの構築を目指すという。
まずは日本における波力発電事業の開発を目指し、mWaveやInSPIREに適したサイトを選定するための国内適地調査を開始する。
海に囲まれ国土の面積が狭い日本では、海洋再生可能エネルギーの長期的、安定的利用に向けた、発電設備の整備にかかる海域の利用促進が検討されている。