見えてきた水素サプライチェーン 豪州の炭鉱から神戸へ 製造・運搬・貯留の流れ

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脱炭素の流れを受け、神戸で、水素の供給網構築を目指す取り組みが進んでいる。川崎重工業、岩谷産業、電源開発などが参画するCO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)が推進。「水素社会」の実現に向けた国際的な計画とは。

水素の原料として「褐炭」に白羽の矢

液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」(Merkmal編集部撮影)。
液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」(Merkmal編集部撮影)。

 神戸で「水素社会」の実現に向けた準備が着々と進んでいる。

 トヨタとCO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)が2021年9月14日(火)、神戸空港島などに整備した水素関連施設を報道機関に公開した。

 HySTRAは、国内の民間企業が参画する技術研究組合だ。川崎重工業を筆頭に、岩谷産業、シェルジャパン、電源開発、丸紅、ENEOS、川崎汽船が名を連ねる。

 そのHySTRAが神戸空港島の端に、液化水素を運搬船から貯蔵施設に降ろし貯蔵する施設を造った。「Hy touch神戸」と名付けられたこの荷役実証ターミナルには、世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」が係留され、世界初の液化水素用ローディングアームで、国内最大の液化水素貯蔵タンクに水素が運び込まれる。

 地球温暖化対策の一環として「脱炭素」の動きが加速している中、新たな燃料として水素が注目されている。水素は様々な資源・国から製造・調達でき、電気と比べ大量・長距離・長期の融通も可能というメリットがある。

 しかしそうはいっても日本は資源が乏しいことに変わりないため、HySTRAは水素を安定・大量製造する資源として日本からはるか9000kmかなたの、オーストラリアに眠る褐炭に着目した。HySTRAはなぜ褐炭を選び、どのような供給網(サプライチェーン)を築くのか。