日本郵船ら5者がアンモニア燃料船開発へ 国産エンジン搭載 需要取り込みへの「先手」なるか
日本郵船、ジャパンエンジンコーポレーション、IHI原動機、日本シップヤード、日本海事協会が、アンモニア燃料船の研究開発を始める。「業界の発展に不可欠」とするアンモニア船開発の背景と、将来を見据えた狙いとは。
2026年度の外航船就航を目指す
日本郵船、ジャパンエンジンコーポレーション(J-ENG)、IHI原動機、日本シップヤード、日本海事協会は2021年10月26日(火)、アンモニア燃料船の研究開発に乗り出すと発表した。記者会見をオンラインで開いた。
プロジェクトは、2050年カーボンニュートラルの実現を目指し立ち上がったグリーンイノベーション基金の枠組みを活用し、アンモニア燃料船のエンジンや燃料タンク、燃料供給システムの開発に着手する。事業規模は約123億円で、期間は2027年度まで約7年間だ。
計画では、まず内航船のアンモニア燃料タグボートを建造する。2024年度の就航を視野に入れており、アンモニア燃料混焼率80%以上を目指す。そして続いて外航船のアンモニア燃料アンモニア輸送船を建造する。2026年度就航を念頭とし、主機で同混焼率最大95%、発電機を動かす補機で同混焼率80%以上を目指す。
ではなぜアンモニア船に手を出すのだろうか。日本郵船のグリーンビジネスグループ長の横山勉氏は「海事業界の健全な発展にアンモニア船の開発は不可欠」と説明する。
世界的な「脱炭素」の潮流の中で、水素や液化天然ガス(LNG)を燃料とする船や、それらを運ぶ船の開発と置き換えが進んでいる。日本郵船グループが抱えるLNG船の船隊規模はすでに世界第2位だ。そのような中で5者は、アンモニア船の開発に着手するという。