EVは極寒での「試験基準」確立が必要ではないか【連載】和田憲一郎のモビリティ千思万考(6)

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EVは寒さに対して弱いとの指摘を受けている。特に北欧、中国、北米など極寒と言われるところではなおさらである。しかし、極寒の状況において、EVなどの新エネルギー車の車両および充電インフラに関しても、明確な試験基準が定められていないのが現状だ。

中国で新エネ車の極寒時試験

 そう思っていたら、北京字節跳動科技(バイトダンス)の傘下にある評価企業が2021年11月、内モンゴル自治区にある試験場を用いて、中国にて販売している国内外の新エネルギー車41台(うちEVは34台)を一堂に集め、極寒時における特性を評価した。試験場所は、測定時の外気温が-15~-20度で、試験時の外気温として最適と考え実施したようだ。

 試験項目は多岐にわたる。一晩屋外に放置した後での冷温始動確認や、屋外放置における電池の残量減少度合い確認、極寒時における急速充電時間の確認、さらには室内温度を一定(24度)とした場合の一充電航続距離などを測定している。

 しかし、この試験は、今回が初めてということもあり、個々の車両の優劣を比較することに主眼があるのではなく、新エネルギー車の極寒時における課題、特に電池性能変化や暖房能力について、試験方法のあり方も含めて基礎的な確認として行ったようだ。

 その結果、冷温始動試験ではほぼ問題ないものの、極寒時の急速充電はかなり時間が長く掛かることが確認された。これはリチウムイオン電池の電解液が極寒時は活性化しにくいことなどが影響しているようだ。

 また、EVは寒冷時に暖房に多くのエネルギーを消費してしまうことから、結果的に一充電航続距離が短くなるが、今回の試験でも、多くの車両が登録値である一充電航続距離に対して、4割~6割程度となることが多かった。これはおおむね登録値に対して半分に減ってしまうことを意味する。

 ここからは筆者の推定であるが、中国では今後も、このような試験を場所や環境を変えて幾度も実施し、極寒時の試験基準を作ろうとするのではないだろうか。

 新エネルギー車はこれまで沿岸部や深センなど比較的暖かい地方にて多くが販売されてきたが、今後各地に拡大しようとすると、内モンゴルのみならず遼寧省、吉林省など北部寒冷地での販売も対象となる。

 そのような時に備えて、新エネルギー車の試験方法を確立し、実力向上を目指すのではないかと推定する。

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