「電池交換式EV」は一つの柱に育つか 中国政府も推進【連載】和田憲一郎のモビリティ千思万考(5)

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中国で電池交換式EVが急拡大。中国政府も電池交換ステーションの建設を後押しする。従来の固定型バッテリーEVと比べてユーザー側のメリットも大きい電池交換式は、今後、EVの一つの柱に成長していくのか。

電池交換式EV充電“第三の方式”

中国の上海依維柯紅岩(SAIC- Hongyan)による電池交換式EVトラックの例。キャブの背面がバッテリー(画像:上汽依維柯紅岩)。
中国の上海依維柯紅岩(SAIC- Hongyan)による電池交換式EVトラックの例。キャブの背面がバッテリー(画像:上汽依維柯紅岩)。

 EV(電気自動車)の普及が進んでいる中国では、電池交換式EVが急激に拡大しているようだ。乗用車EVもあれば、EVトラックもある。今回はこのような電池交換式EVの課題や将来像について考えてみたい。

 中国工業情報省は2021年11月、全国11都市を対象に電池交換式EV向けのインフラ整備や車両の開発を進めると公表した。中国国内で電池交換式の乗用車EVやEVトラックが増加し始めたことが背景にある。電池交換ステーションは2021年10月時点で約1100カ所存在するが、さらに1000カ所以上増やす方針で、これまでの北京、上海、深センのみならず、大都市の多くが含まれている。

 従来、EVの充電はケーブルを接続する「コンダクティブ充電」と、ワイヤレスにてグラウンド側機器から車両へ送電を行う「ワイヤレス電力伝送」に二分していた。またコンダクティブ充電には、日本国内であれば100V、200Vの普通充電と、大出力で充電を行う急速充電がある。

 直近の実例でいえば、急速充電器は日本国内で約8000基、中国では約30万基に達している。近年は大容量の電池を搭載した車両が増えたことから、日中共同開発案件として、超急速充電(ChaoJi:チャオジ)の開発も進められており、2022年から中国にて実用化見込みである。

 それらとは全く別の方式として電池交換式がある。

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