EV急速充電規格はすでに4つ 「普及前夜」の今こそ統一を【和田憲一郎のモビリティ千思万考1】

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今後の普及に向けてEV(電気自動車)の開発競争が世界規模で進んでいるが、そのEV向けの急速充電規格はすでに4つ存在している。日中合同で超急速充電規格の開発も進む中、充電規格の統一や方針を考える。

複雑な急速充電規格と車両側の対応

日産「リーフ」の充電口。
日産「リーフ」の充電口。

 テスラのイーロン・マスク氏は、2021年後半には同社の急速充電器「スーパーチャージャー」を他社EVにも利用できるよう開放を考えていると最近ツイートしている。しかし、この件はかなり複雑な問題を抱えている。筆者の経験から今後の急速充電の世界について考えてみたい。

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 現在の急速充電規格は、全世界で4つに集約される。日本発の急速充電規格となったCHAdeMO規格、中国はCHAdeMO規格と類似したGB/T規格、欧米は新たに立ち上げたCCS(コンバインド・チャージング・システム)規格がある。なお、CCSは欧米にて若干形状が異なる。この3つは国際電気標準会議(IEC)で国際規格として承認されている。4つ目としてテスラが米国自動車技術者協会(SAE)で承認されたテスラ規格がある。

 筆者が三菱自動車でCHAdeMO規格に携わっていた頃、何とかして統一できないかとCHAdeMO協議会メンバーとともに、海外OEMへの説得を試みたが、メンツや独自規格へのこだわりがあり、結果的には複数に分離となってしまった。

 2020年末での設置状況はといえば、中国GB/T規格が30万基、CHAdeMO規格が3万6000基、テスラ規格であるスーパーチャージャーが2万5000基、CCS規格が欧米で1万3000基となっている。

 そして、頭の中を整理するためには、車両側と急速充電器側とを分けて考えなくてはならない。例えば、テスラ車は中国製モデル3/Yの場合、中国GB/T規格とテスラ規格の充電口が2つ設定されており、どちらでも使用できるようになっている。ユーザーから見れば、圧倒的にGB/T規格の急速充電器が多いことから、スーパーチャージャーより、GB/Tを設置した充電ステーションに行く機会が増えているであろう。

 またテスラ車は、他地域ではオプションであるアタッチメントを接続すれば、CHAdeMO規格の急速充電器とも接続できる。日本では圧倒的にCHAdeMO規格の急速充電器が多く、テスラ車ユーザーは近くにスーパーチャージャーがなくても充電可能である。最近の欧州向けテスラ車ではCCS急速充電にも対応した車両を販売開始しているようだ。

 このように車両側は現地の規格、もしくは充電インフラの普及状況に合わせて柔軟に対応している。これはテスラに限らず他の自動車メーカーも同様である。

 一方、急速充電器側を考えると、欧州で多いのはCHAdeMO規格とCCS規格を兼ね備えたダブルアームと呼ばれる方式である。ユーザーの充電規格に応じて、両腕のどちらかを使用できる方式となっている。なお、テスラのスーパーチャージャーは、テスラ車にしか使用できない。

 他の急速充電器が増加するにつれ、テスラ車ユーザーが他の充電ステーションで使用するとスーパーチャージャーの使用頻度が低下してしまう。今回のツイートでは、もっと大きな考えもあるのかもしれないが、この遠因が他社EVにも開放するという発言につながっているのではないだろうか。なお、開放するといっても、地域全て開放して他社ユーザーが使用できようにならない限り、課金システムも含めて使い慣れた場所を使用することが多いであろう。