ステーションワゴンの逆襲! スバル「レガシィ・ツーリングワゴン」がバブル期の若者に与えた絶大インパクトとは【連載】90’s ノスタルジア・オン・ホイールズ(4)
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日本での低評価とその理由
いつの時代もそうだが、販売台数の見通しを含めたクルマの開発計画の総合戦略は、関係者のアタマを悩ませる。それが従来は成功の見込みなしとなかば諦められていたカテゴリーであればなおさらだ。
それはどんなカテゴリーなのか。何を隠そう
「ステーションワゴン」
である。ステーションワゴンとは、いってみれば通常のセダンの後部を荷室とした乗用車のバリエーションのひとつである。
「セダンベースの商用車であるバンとは何が違うのか」
というのは誰しもが抱く素朴な疑問だが、ステーションワゴンとは、単に荷物を多く積めるようにしただけではなく、セダンに対して多目的性能を持たせた一種の“万能車”であるという説明が一番ふさわしい。
実際、ステーションワゴンの先進国だった米国では1940年代からセダンベースのモデルとしては「最上級グレード」として扱われてきた。また英国では「シューティングブレーク」という富豪の狩猟用をターゲットにした、特別あしらえの超高級ステーションワゴンが極少数製造されていたりもした。
一方、日本での状況はどうだったのかといえば、1960年代から、
・トヨペットクラウン
・日産セドリック
といった上級クラスのセダンには、そのバリエーションとしてステーションワゴンがラインアップされていた。性格付けは米国のそれに準じていた。
しかし日本でのステーションワゴンは、その価値を正しく認められていなかったことは否めない。理由はステーションワゴンと同じボディを共用する商用車のバンが同じくラインアップされていたことである。
いくらメーカーが高級車といったところで、同じボディの商用車があっては顧客が納得するはずもない。こうした状況は1960年代から1970年代を経て1980年代なかばまで続くこととなる。日本において、ステーションワゴンはごく一部の熱心なファンが注目するだけの極めて
「マニアックなカテゴリー」
だった。