「日本の自動車メーカー = 遅れている」は間違い! 話題の“SDV論争”から読み解く、安易なメーカー批判という時代兆候
SDVとは何か

近年の経済メディアで頻繁に取り上げられる自動車に関する話題といえば、これまではバッテリー式電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)等の電動車に関するものが主だった。
しかしここに来て新たに「SDV」という三文字が頻繁に登場することが増えた。そしてそこで垣間見えるのは
「日本の自動車メーカーはSDV開発で後れを取っている」
というある種の“決まり文句”である。そもそもSDVとは何を意味するのか。これは
Software(ソフトウエア)
Defined(デファインド)
Vehicle(ビークル)
の略語だ。日本語にすると「ソフトウエアで定義された車両」となるが、それでもまだ少しわかりにくい。もう少し詳しく説明すると次のとおりである。
一般的にクルマの仕様は生産された時点で決まる。チューニングやパーツ交換で性能や乗り味を変えることはできるが、それはハードウエアの変更だ。従来のクルマにおけるソフトウエアの変更は、例えばエンジンマネジメントコンピューターのソフトウエアの書き換えに相当する。ただしこれらは凝ったチューニングメニューのひとつであり一般的に行われていることではない。
対してSDVは、日常的に普段使いしている状態で、車両側がインターネット回線などを通じてマネジメントコンピューターのソフトウエアを更新。必要に応じて新機能を追加するというのが基本となる。こうした機能ゆえに、ハードウエアとしてのクルマ本体を含めて
「スマートフォン」
に例えられることも多い。
ここでのソフトウエアとは、冒頭に記したさまざまな電動車におけるバッテリー管理やモーター制御、さらにはさまざまな安全デバイスに関するものが主となる。将来的には自動運転に関する機能更新なども行われると予測されている。
こうした機能は、日常的に使用するアプリの最新アップデートが提供されるスマートフォンそのものである。