日本版SUVの原点? 90年代「ハイラックスサーフ」の衝撃、万能過ぎて“デートカー”に昇格した熱き時代とは【連載】90’s ノスタルジア・オン・ホイールズ(3)
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1990年代は、バブル崩壊後も未来への夢と希望に満ち、国内の自動車産業も活況を呈していた。本連載では、当時のクルマ文化を探るとともに、興奮を読者に甦らせる。
コンパクト4WDピックアップの魅力

1970年代の終わりから1980年代の初めにかけて、日本車のラインアップのなかにピックアップトラックの4WDモデルが次々と投入された。いすゞ・ファスターロデオ4WD、トヨタ・ハイラックス4WD、三菱フォルテ4WD、そして日産ダットサン4WDである。
これらは頑丈で扱いやすく、しかも相応の荷物も運べる実用車として、道路環境のよくない現場などで高く評価されることとなった。
それまで、本格的なオフロード4WDは三菱ジープやトヨタ・ランドクルーザー、日産パトロール(後にサファリ)などを数えるのみ。それらは走行性能が高かった一方で貨物の積載量は限定的だった。
ランドクルーザーやパトロールの輸出モデルにはピックアップ仕様があった一方で、日本国内における本格的な四輪駆動のトラックというとその上のサイズのものしかなかった時代だった。
これらコンパクトサイズの4WDピックアップは、4WDとしての機能には申し分なかったが、基本的に装備自体は質素であり
「快適性とは無縁だった」
ことは否めない。しかし、車高を上げたダイナミックなスタイルに引かれて、レジャー車として購入する若者もいた。
一方、好景気をバックとした一般ユーザーの旺盛な自動車購買意欲は、こうしたニッチ極まりなかった市場さえもその拡大を後押しすることとなる。
当時、日本には米国からフォード・ブロンコやシボレー・ブレーザーといったフルサイズピックアップをショートボディ化し、キャビンをしっかり仕立てた4WDがプレミアムモデルとして輸入されていた。これらは本国でもレジャー用として、今でいうところのスポーツタイプ多目的車(SUV)の元祖的なモデルとして市場で人気を集めていた。