東北新幹線「薬品漏れ」だけじゃない! いくつもの危険物が“車内持ち込み可”になっている根本理由

キーワード :
, , ,
「はやぶさ52号」で、乗客のかばんから液体が漏れ、触った乗客らがやけどを負った。そもそもなぜ危険物が持ち込めたのか。

多くの人たちが知った事実

新幹線(画像:写真AC)
新幹線(画像:写真AC)

 10月9日正午頃、JR仙台駅付近を走行していた東北新幹線東京行き「はやぶさ52号」で、乗客のかばんから液体が漏れ、触った乗客らがやけどを負った。現在も捜査は進行中だ。

 これまでの報道によると、硫酸は男性が地質調査に使うために持っていたもので、何らかの理由で漏れ出したと見られている。この事件をとおして多くの人たちが知ったのは、劇薬である硫酸でも

「規程に従えば車内への持ち込みが許される」

ということだ。いったいなぜ、多くの人が利用する鉄道で劇薬の持ち込みが許されているのだろうか。JR東日本の旅客営業規則によると

・他の旅客に危害を及ぼすおそれがあるもの
・車両を破損するおそれがあるもの

は、持ち込み禁止となっている。そのうち「別表」に示された

「危険品(火薬や高圧ガス、可燃性液体や酸類など)」

は一定の条件下での持ち込みが可能だ。

酸類の持ち込み条件

荷物(画像:写真AC)
荷物(画像:写真AC)

 今回の事故原因とされる硫酸を含む、酸類の持ち込み条件は以下のとおりだ。

1.酸類で、密閉した容器に収納し、且つ、破損するおそれのないよう荷造した0.5リットル以内のもの。
2.薬液を入れた鉛蓄電池で、堅固な木箱に入れ、且つ、端子が外部に露出しないように荷造したもの。

このように条件を守れば、火薬や硫酸を車内に持ち込める。しかし、この規則が制定された背景や理由は明確ではない。

 JR各社の営業規則は、1942(昭和17)年に当時の鉄道省が定めた「鉄道運輸規程」を基に戦後の国鉄が定め、それが受け継がれている。

 また、火薬や硫酸は規程を順守すれば車内に持ち込める一方、ガソリンの持ち込み自体は禁止されている。以前は、ガソリンも3kg以内ならば“手回り品”として車内に持ち込めるとされていた。

 しかし、2015年6月に東海道新幹線「のぞみ225号」で発生した車内放火事件を受けて、ガソリンなど一部の危険物に関する持ち込み規程が見直され、禁止となった。

全てのコメントを見る