東北新幹線「薬品漏れ」だけじゃない! いくつもの危険物が“車内持ち込み可”になっている根本理由
「はやぶさ52号」で、乗客のかばんから液体が漏れ、触った乗客らがやけどを負った。そもそもなぜ危険物が持ち込めたのか。
個人のモラル頼みは危険

その後、昭和30年代までは、車内に持ち込まれたガソリンや花火などの危険物にたばこの火が引火した事故が幾度も報じられている。しかし、その後は、このような事故はまったく姿を消している。意図的に爆発物を仕掛けた事件はその後も発生している。
同様の事故が繰り返し発生するなかで、その危険性が周知され、
「電車やバスには危険物を持ち込まない」
というモラルが形成されていったと考えられる。結果、事故がないため規則を変更する機会は訪れなかったわけだ。
実際、現代では多くの人は
「たとえ規則で許可されていても、危険物を車内に持ち込まない」
と考えている。しかし、今回の事故は、そのような“常識”が通用しないことを明らかにした。
これまで、個人のモラル形成が事故を未然に防いできた。しかし、それに頼るだけでは事故を完全に防げないということも広く認識された。これを機に、鉄道会社の危険物持ち込みに関するルールが大きく見直されることになりそうだ。