宇都宮ライトレールと路線バス「連携」に多くの課題 接続“5本に1本”は不便すぎ、改善は欧米から学べ
大きな期待を背負って、8月26日に開業した宇都宮ライトレール。既存のバス路線と同線の関係はどのようになっているのか。
バスの経路変更がスムーズだった理由

宇都宮ライトレール開業の陰で、
「並行する一部のバス路線」
がひっそりと消えていった。重複する区間を解消し、路線再編を行ったため、東口側の路線を中心に運行経路が大幅に変更されたためだ。
しかし、宇都宮周辺のバス路線を運行する関東自動車(栃木県宇都宮市)にとって、路面電車の開業にともなうバス路線の縮小は大きな痛手とはならないのか。
実際LRTの事業化に際し、関東自動車は当初、強硬に反対していた。日本では、公共交通機関は基本的に
「独立採算」
を原則としており、鉄道と関係のないバス会社にとって、LRTなどの他交通機関はライバル関係に当たる。経営基盤が盤石とは言い難い地方のバス会社にとって、ライバルの出現は死活問題となるのだから、反対するのも当然のことだ。
これは宇都宮に限らず、日本各地をざっと見回しても、路面電車などの交通機関とは別のバス会社が存在し、並行する競合区間が存在するところは多い。これでは双方が乗客を奪い合う形となり、お互いにとってよい状況とは言えない。
だが、関東自動車はLRTの開業を前に経営が悪化、みちのりホールディングスの傘下へ入り、経営陣が変わったことで風向きが一変。逆に宇都宮ライトレールへ出資するという形で協力することになり、バス路線の廃止や運行経路変更もスムーズに進んだ。
不本意な形と言わざるを得ないものの、運賃収入が会社の業績に直結する日本において、結果としてこれが最善の策だったと言えるのではないか。