「宇都宮LRT」は本当に成功するのか? 8月開業も地元紙が内部文書スクープ、概算事業費172億円増加で 乗客試算も甘すぎの現実も
宇都宮LRTが8月26日、開業する。1948年以来となる新規路面電車だけに注目を集めているが、地元新聞による内部文書のスクープなど、必ずしも順調とはいえない幕開けだ。
地元新聞のスクープで問題発生
次世代型路面電車(LRT)である「宇都宮芳賀(はが)ライトレール線」(以下、宇都宮LRT)が8月26日、開業する。1948(昭和23)年以来となる新規路面電車だけに注目を集めている。
開業前には、起点となるJR宇都宮駅東口で再開発も進んだ。2022年には複合施設「ウツノミヤテラス」「ライトキューブ宇都宮」が開業し、新たな街の姿が生まれている。しかし、まだ先行きには不安が残る。
2023年3月、宇都宮市議会はLRTを巡って大いに紛糾した。概算事業費が大幅に増額となる試算をしていることを市が知りながら、それが隠蔽(いんぺい)されていたことが明らかになったためだ。
地元紙・下野新聞の情報公開請求で開示された内部文書で明らかになった。一連の報道によると、宇都宮市は2018年12月に次の事実を把握していたという。
・軟弱地盤などへの対応で概算事業費が約172億円増加する(当初予定額は412億円)
・費用便益の確保は困難
さらに、内部文書には
「超過額が大きく対外的な説明が困難なため、説明手法の検討や公表のタイミングを計る必要がある」
として、工事の進捗(しんちょく)状況や市長選・市議選の時期、反対派の動向を見きわめながら公表時期を検討するといった内容もあった。