サンライズの奮闘は「反転攻勢の兆し」なのか? 今後にあまり期待しない“控えめ夜行列車論”を語ろう
これからの「夜行列車論」
国内唯一の定期夜行寝台列車「サンライズ瀬戸・出雲」のチケットがなかなか取れない。夏休みのような繁忙期はもとより、閑散期の平日も満席が多く、その人気がうかがえる。
【無料セミナー】「自動車DXサミット vol.3」 三菱ふそう KTC マツダ登壇 Amazonギフトカードプレゼント〈PR〉
この四半世紀余り、日本の夜行列車はダイヤ改正の度に廃止され、衰退の一途をたどってきた。では、最後に残ったサンライズの奮闘は、
「反転攻勢の兆し」
と捉えられるだろうか。それとも、最後の存在ゆえに珍重されているだけなのだろうか。
鉄道を巡るメディアで、散々取り上げられてきた「夜行列車論」。豪華クルーズトレインでなく
「日常的に乗れる存在」
としての夜行列車の存在意義を、これまでの議論をおさらいしつつ、今回はより冷静に、控えめに、あまり期待せずに見つめていこうと思う。
実用的な存在意義なし
まず認めざるを得ないのは、実用的な夜行列車の存在意義は、
「現代においてはほぼなくなった」
ことだ。定期列車としてはサンライズだけになった事実がそれを物語る。
「実用」の定義は曖昧だが、あえて定義をすれば、「その列車に乗ることが目的でない利用」といえようか。
・ビジネス
・帰省
・旅行
など鉄道の利用目的はさまざまある。東京から大阪へ行く用事があって新幹線に乗るように、東京から岡山へ行く移動手段としてサンライズに乗る、といったようなことだ。
この定義に照らせば、列車そのものが目的になっているクルーズトレインや、リーズナブルな夜行列車としてJR西日本が臨時運行している「ウエストエクスプレス銀河」などは「実用」とはいい難い。
もっともウエストエクスプレス銀河は、完全なパッケージツアーであるクルーズトレインとは一線を画しており、一般の特急列車と同様に指定券が発売されている。毎日運転の定期列車ではないが、工夫して旅程に組み込むなどはできるだろう。