サンライズの奮闘は「反転攻勢の兆し」なのか? 今後にあまり期待しない“控えめ夜行列車論”を語ろう
「日常的に乗れる存在」としての夜行列車の存在意義を、これまでの議論をおさらいしつつ、あまり期待せずに見つめる。
夜行列車の優位性が低下

とはいえ、有効時間帯だけで見れば、サンライズと同条件の区間はほかにもある。東京~東北や大阪~九州、大阪~東北などがそうだ。しかし、これらの区間を走っていた寝台列車は、全て廃止されてしまった。
例えば、2008(平成20)年に廃止された「なは」は京都を20時過ぎに発車し、熊本に翌朝7時半過ぎに到着、また2014年に廃止された「あけぼの」は上野を21時過ぎに発車し、秋田には翌朝7時前に到着できる便利な時間帯だったが、利用客は減少していたという。
これらの廃止の要因を巡っては、まず、
「車両設備の陳腐化」
が問題視された。いずれも昭和40~50年代に製造された客車を用いた寝台特急(ブルートレイン)であり、一部に個室はあったものの、大半の車両はカーテンで仕切られただけの2段式寝台だったためだ。昭和40年代のプライバシー感覚が更新されず、その設備は6000円を超える寝台料金に見合わなかった。
次に、競合交通機関についていえば、ブルートレインよりも安い運賃の夜行高速バスをはじめ、航空機とビジネスホテルの低廉化(価格が安くなること)も一因とされた。前日に飛行機で出発しホテルに泊まっても、大きな支出にならない状況になっていたわけである。
こうして、夜行列車の優位性だったはずの有効時間帯も、列車の運行を続ける理由にはならなくなった。何しろ、その“優等生”だったはずの銀河さえ、廃止(2008年)されてしまった。
夜行列車の存在は、徐々に現代人の生活習慣から遠ざかり、
「旅行の選択肢にさえ上がらない輸送機関」
となってしまった。